TPP?もう恥ずかしくて聞けない?今だから知りたい!大学生がまとめるTPP7つのこと。【12/31更新】
【2016 11/1 更新】
こんばんは。
みなさん。TPPってご存知ですか?
最近なにかとニュースなどで名前を聞くTPP。
(画像出典:http://blog.livedoor.jp/kaigainoomaera/archives/45614383.html)
結局、TPPという名前だけ知っていて内容がイマイチわからないという方も多いのではないでしょうか。
「だけど、いまさら恥ずかしくて聞けないよ、、、」っという方!
安心してください!今回はそのための記事です。
いまさらだから聞けない。むしろだからこそ聞きたいTPPの内容をわかりやすく簡単に7つのポイントに絞ってまとめました。
1、そもそもTPPって?
環太平洋経済連携協定が和名であり、これを英語にしたときのTrans-Pacific Partnershipの頭文字をとりTPPと呼ばれています。
その狙いとしては世界最大規模の貿易圏を作るということ。
ちなみに、もしTPPが成立した場合、TPP参加国の国内総生産(GDP)の割合は36%あまりを占めることとなります。
ちなみ参加国は2006年のシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイから始まり、現在ではその4か国に加え、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、メキシコ、カナダ、日本を加えた12か国となっています。
地図にすると、
↓↓↓このような感じで太平洋の国からなっているのがわかりますね。
(画像出典:http://www.kantei.go.jp/jp/headline/tpp2013.html)
12か国の全人口の合計は8億人で世界の11%。GDPの合計は28兆ドルで先にも述べたように世界の36%です。
その他の自由貿易圏との比較するとこうです。
世界の自由貿易圏の比較 | ||
世界のGDPを | ||
占める割合(%) | 人口数 | |
TPP(環太平洋経済連携協定) | 36.3 | 8.1億人 |
NAFTA(北米自由貿易協定) | 26.5 | 4.7億人 |
EU(欧州連合) | 23.9 | 5億人 |
ASEAN(東南アジア諸国連合) | 3.2 | 6.2億人 |
こう比較してみるとTPPがいかに大きな経済圏か分かります。
2、TPPの特徴
今回その規模もさることながら関税をなくす自由化率が約95%を占めているということがあげられます。
農産品と工業品の全9018品目のうち、約95%の8575品目の関税が撤廃される。コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目も3割は関税が撤廃されます。
日本が自由貿易協定を結ぶのは初めてではありません。
フィリピンなどをはじめとして、2国間での自由貿易協定(FTA)は結んでいます。
しかし、今までのFTAでは自由化率が90%を超えることはありませんでした。
自動車工業に関してTPP発効時約87%の品目が撤廃され、最終的には99.9%の品目が最終撤廃されます。
また、貿易などだけでなく、海外投資や知的財産権、原産地規則などに共通のルールが設けられるという特徴もあります。
3、日本の立ち位置
果たして日本の立ち位置はどうなのでしょうか。
TPPの発効の条件として、域内のGDPが85%以上かつ6か国以上の同意が必要となります。
域内GDPはアメリカが60.4%であり最も大きな割合を占めています。
では続いて第二位の国はどこなのでしょう。
アメリカに続いて第二位は日本です。
日本の割合は17.7%であり、アメリカに及ばないものの自動車工業のGDPが大きく引っ張り高い値となっています。
ちなみに、第三位、第四位とカナダ、オーストラリアが続き、それぞれ6.6%、5.4%となっている。
こうやって見ると日本も大きな割合を占めているのがわかります。
さきの条件の85%を達成するにはアメリカと日本の参加が必須となります。
その意味でもTPPにおいて日本の位置は重要なのがわかりますね。
4、即撤廃?いつごろから変化でるのか。
では、発効されたらいつごろから僕たちの生活の変化は出てくるのでしょうか。
TPPの関税撤廃品目には即時撤廃されるものもあれば、5年~10年を目安に緩やかに関税が撤廃されるものもあります。
また、輸出に関しては自動車工業品などで最長で30年関税は撤廃されません。
加工食品であったり、水産物は最も生活の身近なところでかかわるもの。
今一度確認しておきましょう。
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牛肉・豚肉の加工品、およびその他の肉類
品目 | 関税 | TPP発効後 |
牛タン | 12.8% | 11年目に撤廃 |
牛のハラミ | 12.8% | 13年目に撤廃 |
ソーセージ(シーズンドポーク) | 10% | 6年目に撤廃 |
ソーセージ・ギョウザの原料 | 20% | 6年目に撤廃 |
冷凍串カツ | 20% | 6年目に撤廃 |
ハム・ベーコン | 低中価格帯で最大614円/㎏ | 11年目に撤廃 |
鶏の丸どり | 11.90% | 6~11年目に撤廃 |
鶏の骨付き もも肉 | 8.50% | 11年目に撤廃 |
鶏卵 | 8~21.3% (一部を除く) | 即時~13年目に撤廃 |
フォアグラ | 3% | 即時撤廃 |
競走馬 | 340万円 | 16年目に撤廃 |
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加工食品
品目 | 関税 | TPP発効後 |
トマトケチャップ、ソース | 17~29.8% | 6~11年目に撤廃 |
カニピラフ | 9.6% | 11年目に撤廃 |
朝食用シリアル | 11.5% | 8年目に撤廃 |
ジャム(加糖) | 16.8% | 6年目に撤廃 |
緑茶(3㎏超の包装) | 17% | 6年目に撤廃 |
紅茶(3㎏以下の包装) | 12% | 6年目に撤廃 |
アイスクリーム | 21~29.8% | 6年目に63~67%削減 |
フローズンヨーグルト | 26.3~29.8% | 11年目に撤廃 |
スパゲティ・マカロニ | 30円/㎏ | 9年目に12円/㎏に削減 |
ポテトチップス(主に紙の筒に入っているタイプのもの) | 9% | 6年目に撤廃 |
マーガリン | 29.8% | 6年目に撤廃 |
チューインガム | 24% | 11年目に撤廃 |
ビスケット(砂糖入り) | 15% | 6年目に撤廃 |
冷凍・冷蔵ピザ | 24% | 9年目に撤廃 |
粉チーズ | 26.3~40% | 16年目に撤廃 |
ワイン | 原則15% | 8年目に撤廃 |
天然はちみつ | 25.50% | 8年目に撤廃 |
この表を見る限りだとソーセージなどの豚肉などの加工食品をはじめ、鶏肉が安くなることが予想されます。
また、アイスクリームやポテトチップスなどの本当に身近であるものにも変化が出てくるのがわかります。
では、水産物、果物野菜はどうなのでしょうか?
-
水産物
品目 | 関税 | TPP発効後 |
サケの加工品 | 9.6% | 即時撤廃 |
キャビア | 6.4% | 即時撤廃 |
タラバガニ | 4% | 即時撤廃 |
カレイ | 3.5% | 即時撤廃 |
ギンダラ | 3.5% | 即時撤廃 |
カツオ | 3.5% | 即時撤廃 |
シシャモ | 2.8% | 即時撤廃 |
エビ | 2% | 即時撤廃 |
マイワシ | 10% | 6年目に撤廃 |
サバの加工品 | 9.6% | 6年目に撤廃 |
カタクチイワシの加工品 | 15% | 11年目に撤廃 |
ホタテ | 10% | 11年目に撤廃 |
本マグロ(太平洋クロマグロ) | 3.5% | 11年目に撤廃 |
ギンザケ | 3.5% | 11年目に撤廃 |
アジ | 10% | 米国は12年目に、米国以外は16年目に撤廃 |
サバ | 7% | 米国は12年目に、米国以外は16年目に撤廃 |
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果物野菜
品目 | 関税 | TPP発効後 |
ブドウ | 7.8~17% | 即時撤廃 |
キウイ | 6.4% | 即時撤廃 |
スイカ | 6% | 即時撤廃 |
メロン | 6% | 即時撤廃 |
イチゴ | 6% | 即時撤廃 |
トマト | 3% | 即時撤廃 |
ニンジン | 3% | 即時撤廃 |
グレープフルーツ | 10% | 6年目に撤廃 |
サクランボ | 8.50% | 6年目に撤廃 |
オレンジ | 16~32% | 6~8年目に撤廃 |
オレンジジュース | 21.3~29.8%か23円/㎏の高い方 | 6~8年目に撤廃 |
リンゴ | 17% | 11年目に撤廃 |
リンゴジュース | 19.1~34%か23円/㎏の高い方 | 8~11年目に撤廃 |
バナナ | 20~25% | 11年目に撤廃 |
パイナップル | 17% | 11年目に撤廃 |
水産物や果物では即時的に撤廃されるものも少なくなく。
早期的に変化が現れるのではないかと予想されます。
水産物では高く関税がかけられていたホタテやマイワシなどがベトナムや米国、カナダからの輸入がふえる増えるのではないかと予想されます。
果物の方ではオレンジジュースなどリンゴなどは高い関税がかけられており撤廃されますが、オレンジジュースはブラジルからリンゴは中国からの輸入が 主なので大きな変化は感じられないかもしれません。
他には工業品はどうでしょうか?
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工業品
品目 | 関税 | TPP発効後 |
変性アルコール | 27.2%、38.1円/ℓ | 8年目に撤廃 |
エチルアルコール | 10% | 11年目に撤廃 |
軽油・重油・灯油など | 0~7.9%、1229円/ℓ | 即時撤廃 |
プラスチック原料、有機・無機化学品など | 1.6~6.5% | 即時撤廃 |
革製カバン、ハンドバッグ | 8~16% | 11年目に撤廃 |
革靴 | 30%か4300円の高い方 | 11年目に撤廃 |
毛布、野球クラブなど | 12.5~30% | 16年目に撤廃 |
ゼラチン、にかわ | 17% | 16年目に撤廃 |
繊維製品(生地) | 1.9~14.2% | 即時撤廃 |
繊維製品(衣類) | 4.4~13.4% | 即時撤廃 |
銅 | 3%か15円/㎏の低い方 | 11年目に撤廃 |
亜鉛 | 4.3円/㎏など | 11年目に撤廃 |
鉛 | 2.7円/㎏ | 11年目に撤廃 |
(※銅、亜鉛、鉛の一部は即時撤廃 |
工業品で最も身近なものはハンドバッグや野球クラブなどでしょうか。
日用的な用途の工業品の関税撤廃は10年以上かかるため変化を感じられるのはだいぶ時間がかかるかもしれません。
他にも家電製品や自動車製品などの関税も撤廃されます。
家電製品や自動車製品に関しては日本の場合主に輸出に関しての戦略が多く、TPPの締結により、輸出がしやすくなるのではないかと予想されています。
家電に関してはほとんどのものが関税が10%未満であり、関税の撤廃も即時撤廃のものも多く、だいたいが6年以内には撤廃されるとされています。
それに対し自動車もメキシコ向けの中古車を除きほとんどのものが関税が撤廃されます。
しかし、自動車の関税撤廃は時間がかかるものが多く、だいたいが10~15年目での撤廃となっています。
また、アメリカ向けのトラックの関税(25%)撤廃は30年目となっており、今回のTPPの条項の中で最も時間がかかるものとなっています。
家電と比べると自動車産業で変化が出るのは時間がかかりそうです。
こうやって見ると水産物や果物などの第一次産業の変化は即時的にありそうです。
私たちの生活水準で大きく変化が感じられるのは6~10年目となりそうです。
5、日本の農への影響は?
今回のTPP交渉の中で大きな争点となったのは農業の保護ができるかという点であります。
事実、日本は農業分野で関税を維持できた割合は19%と、カナダが5.9%、アメリカが1.2%と比べると高い割合を保持しています。
しかし、反対にとらえれば残りの81%は国際市場に無理やり投げ出され勝負せざるおえない状況となるということです。
日本政府は「守りの農業」から「攻めの農業」の転換期だとしています。
想定される主な政府の農業対策としては以下があげられます。
- 農地の集約化
- 生産から販売まで手がける「6次産業化」の推進
- 生産者負担による、国内消費の拡大や輸出促進
- 米価を維持するためのコメの買い上げ
- 肉牛農家に対する赤字穴埋め策の拡充
しかし、現在の日本の農業の危機的状況下の中で「攻めの農業」なんて謳っていて良いのでしょうか?
そもそもどこが守られているのでしょうか。
現在日本農家の平均年齢は66歳を超え、農業の大規模化すらも進んでいません。
日本の農業が大規模化に向いているかどうかは賛否両論があるため、置いておくとしても就農対策はいっこうに進んでいません。
ちなみにコメについてはTPP特別枠として国内生産量の約1%が無関税で輸入されます。
しかし、米価は安定がとらえるため安くなることは想定しにくいです。
また、それどころか米価維持のため政府の財政支出が増えれば、消費者が安いコメを買う機会はどんどん遠のきます。
このことはウルグアイ・ラウンドの前例があり、ミニマムアクセス米の対策費として巨額のお金が使われました。
今、このまま国際競争に投げ出され、輸出対策もとられていないままで戦えるのでしょうか。
僕はそう思いません。今すべきはもう一度なにが必要か考え具体的な対策を実際に運用していくことだと思います。
「攻めの農業」「守りの農業」と謳っている場合ではないのです、攻めることも守ることもできるようにまずは武器と防具をそろえる。
今行うべきは「準備の農業」だと思います。
また、日本の農業を守っていくことは私たちにもできます。
日本の農作物は高品質です。人の手が加わり手間暇かけられています。
このことは十分誇りに思えることだと思います。
国産野菜を買って守っていきましょう。
確かに外国産と比べる値が張りますが、品質や味から考えると全然高くないと思います。
6、著作権や外資規制等のサービス
今回のTPPといのは関税撤廃だけではなく、知的財産権や経済においての共通のルールを設けるというのが注目しておきたいところです。
・外資規制
共通のルールを設けることによって外資系企業のやり取りや国内企業の他国への出店に関して簡潔に進めることができます。
国内企業ではコンビニエンスストアのような小売り業において、マレーシアやベトナム
での出店規約を緩和したため、海外展開の追い風となるのが見込まれます。
また、ATMの設置制限の撤廃なども原則としてあるため、金融分野での外資規制の緩和も見込まれています。
主にアジアの新興国への進出が見込まれます。
みなさん著作権はご存知ですよね。日本では作品の作者が死後50年経ったものは著作権という権利が切れ無料化されます。
しかし、今回のTPPが発効されると著作権の保護期間が70年に統一されます。
日本ではアニメーション分野が強く一見著作権による収入があがるかと思われますが、最も収入を得るのはアメリカ。これはディズニー作品やハリウッド映画などの世界的に人気のコンテンツ産業があるからです。
日本の著作権の国際収支は2014年では約8000億円の赤字となっています。
これから赤字が膨らむ可能性があるのではないかと懸念されています。
またバイオ医薬品のデータ保護期間が8年とされた。しかしこれは日本の従来通りのため国内の製薬業界には大きな影響はないとされています。
・原産地規則
多くの部品を取り扱う自動車メーカーには、TPPで設けられた「原産地規則」というものが決められました。
これはTPPの関税撤廃の対象となるにはTPP域内の部品調達比率が55%を越えなければならないというものであります。
つまりはTPP参加国の部品を使って車を作れといことであります。
日本の場合、生産拠点はメキシコなどのTPP参加国に置いているが部品をまかなうのは品質の問題から100%参加国内だけの調達は難しい。
そのため、割合はできるだけ低い水準を希望してきました。
今回の55%という割合は生産にはさほど影響がない値のようです。
他には、IT分野でのデータ流出を防ぐため海外政府が民間企業」にソースコード(いわゆる設計図)の開示を要求するのを禁止しました。
また、環境保護の面としても①締結済みの多国間の環境の協定の尊重とさらなる協力の拡大 ②持続可能な漁業管理 ③野生動植物の違法な採取や取引への対処 の3点の取り組み強化が合意されました。
今回のTPP、その協定の規定する範囲は産業のみならず、権利やIT、環境までととても多岐にわたることがわかります。
7、日本の光。和食ブーム!
今回、TPPの締結によって日本から輸出されるみそや日本酒などにかかる関税も大幅に撤廃されます。
現在、アメリカをはじめ空前の日本食ブーム。
日本の農産物加工品の輸出に対し大きく追い風となるのではないかっと期待されています。
和食関連で輸出の増加が見込まれるものについては
みそ
アメリカ→6.4%の関税を5年目に撤廃
カナダ→9.5%の関税を即時撤廃
ベトナム→20%の関税を5年目に撤廃
しょうゆ
アメリカ→3%の関税を5年目に撤廃
メキシコ→20%の関税を即時撤廃
カナダ→9.5%の関税を即時撤廃
日本酒
アメリカ→3セント/1リットルを即時撤廃
カナダ→2.82~12.95セント/1リットルを即時撤廃
農林水産省によると2014年の日本からTPP参加11か国へのしょうゆの輸出額は約20億円で、前年と比べると6億円近く増えています。
日本酒に関しても14年は約56億円で前年から5億円近く増加しています。
今回のTPPによる関税撤廃で輸出が拡大されるのは予想され、その追い風となりそうですね。
まとめ
今回のTPP、最も理解しておきたいところはなにも関税撤廃だけでなく様々な共通ルールを設けた経済圏ということを確認しておきたい。
今回のことで意識されているのは中国です。
TPP経済圏の総人口は8億人。しかし、中国は一国のみで13億人です。
もう中国は世界的にみても見過ごすことができない超大国となっています。
そして中身の方では関税が撤廃されることにより、日本が有利となる分野、逆に不利となる分野を把握しておきましょう。
不利となるのは農業です。
政府の方針と現地レベルの考えにズレが生じているというのも危険であります。
多くの人が日本の農業を気に留めて考えていくという姿勢をもつことが大切だと思う。またTPPに関しては正確にどんなものか理解するのが大事でしょう。
TPPにより世界は大きく変わると予想されている、名前しか聞いたことがないという状態であれば社会から取り残されてしまうかもしれません。
私たちの生活レベルで変わる というのは間違いない。
いつ頃からどのように変化するのか確認しましょう。